競合と差別化されていますか? 差別化の重要性について
突然ですが、貴社はターゲット顧客、提供している付加価値、付加価値の提供の仕方といったことにおいて、競合と差別化されているでしょうか?自社はユニークな存在だとおっしゃるのであれば、本記事を読む必要はありません。しかし、競合と同じことをやっているといった企業様であれば、お読みいただけますと幸いです。
誰に何を売るか
事業の売上は、誰に(ターゲット)、何を(提供する付加価値)提供するのかで決まるといって良いでしょう。買ってくれない相手に売れない商品をどのような方法で売ろうとしても、売上げには繋がりません。
では、購買意欲のある相手であれば、あるいは売れる商品を取り扱えば売れるのかと言われると、必ずしもそうだとは言い切れません。なぜなら、同じ商品であれば、買い手は誰から買っても構わないからです。言い換えると、売り手は競合ではなく、自分から買ってもらわないと、誰に何を売ろうとしても収益が上がらないことになります。
買い手に自分から買ってもらうために、競合との差別化が重要になります。
差別化が重要な理由
なぜ、差別化が重要なのでしょうか。それは、何かを購入する際において複数の候補からいずれかを選択する基準が共通点ではなく、相違点だからです。
例えば、候補A、候補B、候補Cの3つの候補があったとします。この中から1つを選ぶにあたって、「AもBもCも、どれも大差がないのでAにする」ということは論理的におかしいですよね。「AとBとCの3つがあって、Aはこの点が他の2つと違うからAにする」という風になるはずです。
このように、買い手にとって他の候補と違いがあり、その違いに相対的に優位性があるからこそ、買い手から選んでいただけることになります。
差別化されていない場合
では、他候補と比べて違いがない場合は、どうやって自社、あるいは自社商品を買い手に選んでもらうことになるでしょうか?大きく、価格を下げるということと、知名度を上げるという2つが考えられます。
買い手にとって候補となるものの質に違いがないとするならば、価格が安いものを選択するのが合理的な判断です。つまり、競合の商品と差別化できないのであれば、価格を少しでも安くして買っていただくということになります。そうなると、低価格競争に陥ってしまい、収益性が低下してしまいます。
誰もが良く知らない商品よりも、見知った商品の方が安心して選択することができます。商品に差がなければ、プロモーションによって知名度が高い方が選ばれやすくなるということになります。そうなると、競合よりも少しでもプロモーションの面で優位に立とうとなり、費用がかさむことで収益性が低下してしまいます。
つまり、差別化されていないということは、収益の低下につながるということになります。
何をもって差別化するか
事業者向けであれ、消費者向けであれ、商品を自社で企画・製造しているメーカー、自社で企画しているサービス業であれば、商品そのもので差別化が可能です。
それに対して、製造業でも受注生産を行っている企業、サービス業でもシステム会社やデザイン会社といったように、オーダーを受けて制作する企業は差別化がしづらくなります。
しかし、決して差別化ができない訳ではありません。商品よりも経営戦略面で差別化をすることができます。例えば、①エリアを絞る、②ターゲットを絞る、③商品を絞るといったことが考えられます。
①エリアを絞る
特定のエリアに絞り込み、該当エリアのニーズに特化します。一般家庭向けサービスだとしても、都市部と住宅地、郊外では住んでいる方の属性が異なりますので、需要も変わります。つまり、地域で一番の存在となるということになります。
②ターゲットを絞る
特定のターゲットに絞り込み、該当ターゲットのニーズに特化します。中年女性専門のフィットネスクラブ、病院専門のWeb制作会社といったことが例として挙げられます。競合と比較して、該当するターゲットに対するスキルやノウハウを得ることができるため、競争優位性を得やすくなります。
③商品を絞る
商品の品揃えで競い合おうとすると、どうしても資本の大きな相手には勝てません。しかし、スポーツタイプの車種専門の中古車販売店、曲面加工専門の金属加工業といったように、一部の商品に特化することで、特定カテゴリーに関して比較優位性を得ることも可能になります。
その他の差別化のメリット
差別化は、①買い手にとって選択肢の一番目になることで受注や購入される確率を高める、②余計な低価格化や広告宣伝をしなくて済む、③特定ターゲットに対するノウハウを得ることができるため、提供する付加価値を高めることができる、といったメリットがあることを説明しました。
それら以外にも、仕入れが発生する企業においても、差別化をして絞り込みを行うことで、仕入れの効率化や在庫削減というメリットが挙げられます。
総じて言えることは、差別化の結果、企業の収益性が向上することが期待できます。
差別化に関する留意点
競合との差別化が重要であることはご納得いただけたかと思われます。ですが、一つだけ気に留め置いていただきたいことがあります。それは、差別化というものは、競合商品との差異が買い手に正しく伝わらなくては意味がないということです。
買い手は商品について知識がない場合があります。特に購入する頻度が低いものは必然的に商品知識が少ないでしょう。そのため、いくら競合の商品と違いがあったとしても、買い手にそれが伝わらなければ、買い手にとって違いはないということと変わりがありません。
まとめ
差別化というと、独自技術が必要だと思われていた方もいらっしゃったかもしれません。しかし、前述した通り、エリア、ターゲット、商品を絞り込むことで戦略的に競合と差別化をすることは可能です。
特に、コモディティ化した業界で低価格化に悩んでいるのであれば、競合との差別化に取り組まれてはいかがでしょうか。
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