魅力的な市場のデメリット
どれだけ商品・サービスを新たに売ることができる余地があるのかという点に関与するため、事業をするにあたって、どの市場をターゲットにするのかは重要な要素です。
どういった市場が自社にとって狙うべき市場でしょうか?
魅力ある市場は競争が激しい
顧客が多い後者の方が市場から得られる売上の最大値が大きいことは言うまでもありません。
たくさんの集客が見込める大きな市場が理想の市場なのでしょうか、となると必ずしもそうとは言い切れません。
市場に参入している(参入しようとしている)企業が1社だけなら問題はないのですが、貴社にとって魅力がある市場は他社にとっても魅力がある市場である可能性があります。
つまり、市場の規模が大きい市場ほど、参入企業が多く、競争が激しい可能性が高くなります。
成長可能性が高い市場でも同様で、多くの企業が参入したくなる市場は、競争が激しくなる可能性が高い市場です。
競争が激しい市場のデメリット
市場に自社と競合との2社だけが存在していることをイメージしてください。
競合が貴社と同等の製品の価格を下げた場合どういう経営判断を行いますか?顧客を取られないように同程度まで価格を下げますか?顧客を奪うためにより価格を下げますか?
それに対して競合はどういった対策を行うでしょうか?
こういった価格競争に陥ると、収益がどんどん下がっていくのは目に見えています。
では、競合がシェアを拡大するために宣伝広告を強化してきたら、どうしますか?
現在、プロモーション費用と売上のバランスが釣り合っていたとしても、競合にシェア奪をわれないために、望まないプロモーション費用の増加をせざるを得ない状況になってしまいます。
価格競争ではなく、広告宣伝の競争になったとしても、費用が増えるために同じように収益性が低下してします。
競合が1社でもこのような感じです。
競合が多ければ多いほど、収益が低下する危険性が高まるということです。
そんな市場は参入する価値のある市場と言えるでしょうか?
前述の例は、競合の規模が自社と同等で、勝負すれば勝てるかもしれないシチュエーションを想定してなかったでしょうか?
当然ながら、規模の面から全く勝てない競合というのも存在します。
規模が大きな市場であれば、多くの競合が参入しようという動機がありますが、規模の大きな企業も参入する動機があります。 そもそも戦っても勝ちようがない競合その競争は避けなくてはいけません。
競争は避けたい
孫子の謀攻編にある「百戦百勝は、善の善なるものに非ざるなり」という言葉を聞いたことがある方も多いかと思われます。
例え戦って勝ったとしても、戦うこと自体が自身へのダメージになりかねません。
ですから、実際に戦うことを可能な限り避ける必要があるということです。
そのため、儲かると誰もが考える市場は競合の多くなり、望まない気業界の競争に巻き込まれることになります。
こういった話になると、よくブルーオーシャン戦略が良いということになります。
しかし、ブルーオーシャン戦略も収益を約束したものではありません。
今はブルーオーシャンであったとしても、今後もブルーオーシャンだとは限りません。
競合にとっても魅力的な市場であれば、結局競合の参入を招き、レッドオーシャン化してしまいます。 未来永劫、競争がない市場を創出する都合が良い方法はありませんが、市場を設定する際には可能な限り競争を避けるということを念頭に置くことが求められるでしょう。
妥当な市場規模
企業の規模によって妥当な市場規模は異なりますが、現在の売上に対して過大な市場は不要なはずです。
例えば、売上が10億円の企業にとって何千億、何兆円といった市場規模は不要なはずです。
競争の激しい何千万円、何兆円の市場よりも、競合のいない数十億円の市場の方が、より確実に高収益が期待できます。
市場が手狭になってきたら、新たな市場に進出します。
仮に既存の市場が縮小した場合でも売上低下の影響が小さくなる、つまり経営の安全性を高めながら成長が期待できるようになります。
最後に
魅力的な市場は自社にとって収益性の高い市場とは言い切れません。
規模が大きい、あるいは今後の成長が期待できるという条件は、競合にとっても同じ条件ではないでしょうか?
収益性の低い市場で頑張るよりも、高収益が期待できる市場で頑張りましょう。
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