ビジネスゲームの中で市場をどのように考えたか?

現実の経営環境をビジネスゲームに仕上げるために

前回の私のブログでUNOGAコンサルティンググループを結成し、「なぜビジネスゲームを開発しようと考えたか」ということについて述べてきました。 今回のブログでは、ビジネスゲームの開発にあたり市場の捉え方について記載しようと思っています。  現実の経営環境は様々な要素が絡まりあっていて、簡単にひとつの理論でモデル化できるものではありません。 一方、ビジネスゲームはプログラムですので、複雑な要素の内、一部をモデル化し、それをプログラムにする必要があります。 また、多くの皆様に経営戦略を学んで頂くことを目的としていますので、様々な要素の中で最も重要な部分のみを取り出してモデル化し、プログラムにするというプロセスを取ります。 その中で、我々は「商品を作って売って儲ける」という非常に単純な活動に絞ってモデル化を行い、ビジネスゲームに仕上げました。 このように、全てのものを考慮したものではなく、必要なもののみに絞って開発したことをご理解下さい。

ビジネスゲーム「UNOGA」の概要

ビジネスゲーム「UNOGA」の内容については当ホームページの「UNOGA」とは、で詳細を記述していますが、簡単に紹介しますと、

・オフィスソフトExcelを用い、経営戦略の基本を楽しく学んで頂くことを目的として、
・2~3名でチームを構成し、最大6つのチームがゲーム上の会社を設立し、
・決められた資金を元手に商品を生産、販売するとともにこれらに対する投資を行い、
・5年間経営した後、最終年度末の資金量(≒収益力)で順位を競う

というゲームです。

この中で、

・商品として、3つの商品を準備し、当初の市場価格と各商品の5年間の需要予測が示されており、
・その中で、販売する商品とその価格を決定し、
・開発として、4つめの新商品を新たに開発し、製造販売するかどうかを選択する

という条件で、収益最大化を狙います。

ビジネスゲームの中で「市場」をどのように捉えるか?

上記のようなゲームの中で、経営戦略の第一歩である「市場の捉え方」について記載していきます。

「市場」というとまず「マーケティング」という言葉が出てきますが、この「マーケティング」の基本戦略として4P分析があります。 これは、マーケティング施策を考える際に使用するフレームワークの1つで、1960年にマーケティング学者のエドモンド・ジェローム・マッカーシーが提唱したもので、Product(製品・サービス)、Price(価格)、Place(販売場所・提供方法)、Promotion(販促活動)の頭文字を取ったものです。

「市場」を考える場合、これら4Pの全てを考える必要がありますが、Place、Promotionは実施方法が多岐にわたり、その方法をゲームとして表現するのは難しいと考え省略しました。 そしてこのゲームでは、Product、Priceに絞って「市場」の要素として取り込みました。

まず、Productは製品やサービスで、性能・品質・希少性等様々な要素で販売量は変化しますが、ゲームとして考える場合には、「市場価格と将来の需要の伸び率」で代表させることにしました。 一方、Priceは販売の都度決定して頂くことにしています。

ビジネスゲームの中の「市場設定」

本来、需要予測は大変難しく、この予測を正確にするだけでも経営にとっては大きな意味があります。 といって需要を正確に予測することはほぼ不可能で、ある前提に立った需要予測を実施し、その予測に基づいた経営戦略を構築していきます。 このビジネスゲームでは、需要予測することは諦め、下記のような各商品に対する需要予測を前提条件として与えて、この予測をベースとして経営戦略を考えて頂くようにしています。

さて、下記のような「商品X」と「商品Y」の需要予測を提示されたとき、皆さんはどのように考えられるでしょうか? もちろんゲームですので「0年目」の需要は「0」で「6年目」の需要も「0」になるという前提です。

「商品X」は将来に渡って一気に需要が伸びていき、「導入期」または「成長期」の商品と言えます。 一方、「商品Y」の需要の伸びは穏やかであり「成熟期」の商品と言えます。 この「導入期」「成長期」「成熟期」と言う考え方は「衰退期」と併せて、「製品のライフサイクル理論」に通じるものがあります。

さて、このような2つの商品のどちらが魅力的でしょうか? 普通に考えるとこれから成長が期待できる「商品X」が魅力的となりますね。

条件が揃っていない段階で結論を出してはいけない

一見、「商品X」が魅力的ですが、ここで結論を出してはいけません。 重要なひとつの条件が揃っていないことが解るでしょうか? そう、「需要量の絶対値」の条件が出ていないことが解ります。 例えば、下記のように1年目の需要量を考えた場合、1年目の市場の大きさは「商品X」は100万円、「商品Y」は1,000万円となり、「商品X」の需要の伸び率が少々高くても市場の大きさは「商品Y」を超えることはなく「商品Y」の方が魅力的であると言えます。 このように、実際に需要予測を見て、冷静に市場を考える力を養えるのもこのゲームの魅力であると考えています。

このように、需要予測を見て「商品Y」が魅力的と考えることは理論的と言えますが、実際の経営環境ではそうとも行きません。

参加している「6社」全てが「商品Y」に魅力を感じ、「商品Y」のみを販売するとしたら、「商品Y」で壮絶な価格競争が生じ、全く魅力的でなくなります。 一方、「商品X」は供給不足のため高価格で販売できる魅力的な商品になっていることも考えられます。

理論と現実のギャップの微調整を楽しむ

上記のように理論的には「商品Y」を販売するべきであるということが導かれ、実際にその通り実施することが王道です。 しかし、大きな競合が生じ、理論とは異なる「商品X」を販売するべき状況になった場合には柔軟に戦略を変更する必要があります。 このゲームでは、理論は重視しながらも、競合先の戦略の結果によっては戦略を変更するよう柔軟な対応を求めています。 つまり、2年目から5年目の販売実行時に「商品X」も販売するなど戦略を変えることを検討して頂くことです。 このように競合先の行動を見ながら、実際の行動を微調整していくことを体験できることがこのビジネスゲームの最大の特徴です。

まとめ

このビジネスゲームでは、市場の需要予測を前提に戦略を考えて頂きますが、理論を理解した上で、競合先の行動を見て臨機応変・柔軟に対応するというスキルを身に付けて頂くことを特徴としています。 もちろんこのゲームの魅力はそれだけではなく他にも色々ありますので今後もそれらを紹介していきます。 このビジネスゲームが皆様の「経営戦略」を考える上でひとつのキッカケとなれば幸甚と考えています。

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