戦略策定における強みって何?

「強み」を生かす経営と生かさない経営であれば、前者の方が良いということをどなたも首肯されるのではないでしょうか。

では、この「強み」とは何でしょうか?
明確に答えられるでしょうかと問われると、いかがでしょうか?

分からないものを生かしようがありませんので、戦略策定における「強み」とは何かについて考えていきたいと思います。

言葉通り捉えると

「強み」とは「強い」という形容詞が名詞になったものです。
何か比較するもの・ことがあって、比較した上で劣位ではなく優位である状態を指しているということは間違いないでしょう。
つまり、「強い」のか「強くない」のかは、比較の対象が何かによって変わってしまうことになります。

微細な金属加工技術を持つ企業があったとします。
この企業にとって、微細な金属加工技術は「強み」なのでしょうか?
以下の2つのケースで考えてみましょう。

【ケース1】比較対象が競合の場合

これは「強み」と言って差し支えなさそうです。
なぜなら、微細な金属加工技術を生かすことができれば、競合よりも高い付加価値を提供できると考えられ、優先的に活用すべきもの・ことだと言えるからです。

【ケース2】比較対象が自社内の他の技術の場合

曲面加工は質が低い、平面加工も質が低い、いくつかある加工技術のあ中で、微細な加工が最も品質が良いといったように、比較の対象が自社の他の技術だった場合、競合と比較して高い付加価値を提供できるのかどうかは分かりません。

自社の中で相対的に得意だと思っていることを「強み」と捉えると、実際は「強み」ではないかもしれない可能性があります。
競合はもっと高い技術を持っているかもしれないからです。

「強みの定義①」:「強み」とは比較優位性である

競合と比較しないと判断できず、競合に対して優位性が求められるということは、「強み」とは「比較優位性」と同義だと言えるでしょう。

繰り返しますが、得意なことを「強み」としてしまうと、競合がより得意であれば比較劣位なもの・ことを武器にして競合と勝負することになってしまいます。
その結果、競合との勝負に勝つことは難しいでしょう。

リソースと事象

他の方のSWOT分析の結果を拝見することがよくあるのですが、それで気になることがあります。
それは、「強み(弱み)」において、自社のリソースと事象とを混同しているということです。

例えば、「競合よりも短納期生産が可能」だとします。
これは、事象です。
競合よりも短納期生産を可能にする設備、技術、ノウハウといったことがリソースです。

「競合よりも短納期生産が可能」という事象は、設備、技術、ノウハウといったリソースを活用して生まれた結果です。
仮に、条件や状況が変わったら、競合よりも短納期の生産ができなくなる可能性があります。

「強みの定義②」:「強み」とはリソースのことである

条件や状況によって結果が変わるのであれば、クロスSWOTにおいて機会や脅威と併せて考えた場合、事象をの場合は「強み」ではなくなってしまうことも考えらえます。

リソースであれば、機会や脅威に対して活用できるかどうかの判断ができることは変わりません。

最後に

「強み」を生かす経営戦略を策定するにあたって、「強み」があいまいでは適切に経営戦略を策定できません。
ここで述べたことのみが正解であるかどうかは分かりませんが、少なくとも「強み」を生かすのであれば、「強み」とは何かという点は明確にする必要があるでしょう。

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