ビジネスゲーム「UNOGA」で簡単な会計を学ぶ
「UNOGA」で使用している簡単な会計手法について
前回の私のブログでは、「なぜビジネスゲームを開発しようと考えたか」ということについて述べてきました。 今回のブログでは、ビジネスゲームの中で使っている会計手法について紹介しようと思います。
実際の事業で経営戦略を考えるに当たり基本となるのが「損益計算書」や「貸借対照表」などの財務諸表です。 この財務諸表は、会計の手法に則り作成しますが、「UNOGA」においても簡単な会計の手法を使ってコスト計算や利益計算をしています。 会計の初歩の初歩ですので、ご存知の方は読み飛ばして下さい。
「UNOGA」で学ぶ会計手法の基本
ビジネスゲーム「UNOGA」では上記のような表を用いて、青色背景の各商品の価格と販売数量及び投資金額を決定していくことにより1年間の事業を遂行して頂くことにしています。 実際の経営ではこんなに簡単に経営状況を表すことはできませんが、基本的な項目は押さえています。 この中で、コストと固定費は事前に決めた数値を入れており、青色背景のセルに数値を入力して頂くと全て計算できるようにしています。 皆さんも小さな製造会社の社長になったつもりで、この表を用いて簡単な会計知識を勉強していきましょう。
まずは、販売価格とコストです。 正確には、1個当たりの売値(単価)と1個当たりの変動費用です。 売値(単価)については説明の必要はないと思いますが、1個当たりの変動費用とは、売上(生産量・販売量)に比例して増減するコストのことで、逆に言うと生産しなければ発生しないコストです。 原材料費、外注費、販売手数料などが挙げられます。
売上高と変動費から売上高総利益を計算する
さて、実際にどのように売上高と変動費を計算しているかを見ていきましょう。 会社全体での売上高と変動費の合計は、商品X、商品Y、商品Zの合計であり、それぞれ販売数量を乗じて下記の通りとなります。
売上高=9,000円×70個+1,100円×160個+50,000円×8個=1,206,000円
変動費=5,000円×70個+500円×160個+25,000円×8個=630,000円
ここで、会計上、この変動費合計を売上原価といい、売上高との差を売上総利益といいます。つまり、
売上総利益=売上高-売上原価(変動費)=1,206,000円-630,000円=576,000円
となります。
また、売上総利益を粗利益ともいい、売上高に対する比率を売上高総利益率(粗利益率)といいます。
売上高総利益率=売上総利益÷売上高=576,000円÷1,206,000円=47.8%
となります。
固定費も併せて営業利益を計算する
さて、上記で売上総利益を計算しましたが、実際の経営では、変動費以外に固定費が発生します。 固定費は、生産量や販売量の増減に関わらず一定にかかるコストのことで、生産をしてもしなくても発生する費用で、人件費、減価償却費、地代家賃、水道光熱費、広告宣伝費などが挙げられます。 一般的に人件費は固定費として扱いますが、現場で生産に携わっている作業者で、1個生産するのに必ず10分かかるなど、明確に生産量比例と考えられる作業者の人件費については変動費用として取り扱うこともあります。
この固定費は、会計上では、一般管理費に対応するもので、売上総利益から一般管理費を引いたものが、実際の事業による利益である「営業利益」として計算されます。
「UNOGA」では、一般的な固定費を300,000円とし、それ以外に経営戦略上最も重要な投資や研究開発費を受講者が任意に入力できるようにしており、投資額70,000円を計上しています。
営業利益=売上総利益-一般管理費=576,000円-(300,000円+70,000円)=206,000円(17.1%)
となります。
ここまでをまとめると
売上高 :1,206,000円
売上原価 : 630,000円 (変動費)
売上総利益: 576,000円(47.8%)
一般管理費: 300,000+70,000円 (固定費)
営業利益 : 206,000円(17.1%)
となり、この1年間で206,000円儲けたことになります。
実際の事業では、この営業利益に営業外損益を加えた「経常利益」、経常利益に特別損益を加えた「税引前当期純利益」、税引前当期純利益から税金を差し引いた「当期純利益」を計算する必要がありますが、ここでは説明を省略致します。
まとめ
ここまで売上高から営業利益まで「損益計算書」の最も重要な項目を説明致しました。 簡単な仕組みですが、今まで経験したことの無い人にはすぐに馴染めないかもしれません。 「UNOGA」では、会計のことを全くわからない受講者でも基本的な損益計算書の考えを無理なく体験できるようにしていますので一度試してみてください。 次回はさらに、品種別採算管理や損益分岐点の考えを紹介していきたいと思います。
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